山を下りるにはまだ早い

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CHAPTER 21 / 21

終章 四人分

店を出ると、雨は降っていなかった。
 踏切の前で宏和が写真を出した。陶子さんから最初の方を大きいまま送ってもらったという。
 白い壁の前で、拓海が亮の腕を引いていた。僕は笑いかけ、宏和だけ正面を向いていた。
「俺の顔、いいから消してない」
 亮が言った。
「ほとんど俺の後ろだけど」
「見えるとこはいい」
 宏和は揃った方も出した。拓海の両手は身体の横へ下がっていた。
「大きいの、送って」
 僕が頼むと、二枚とも来た。
 電車が通り過ぎた。画面の四人は、これから並び直すところだった。

「来週、もうちょい早く食わねえ?」
 駅へ向かう途中、亮が言った。
「五時くらい。昼から七時まで、今日、長かった」
「店は?」
「土曜、四時まで。今度は昼の飯も、店で食う」
「じゃ、俺も五時。午前、材料買いに行くけど」
 宏和が言った。
「また箱?」
「たぶん」
「席、広い所にしろよ」
 僕は予定を開いた。五時は空いていた。
「俺、問題、持ってっていい?」
「難しくないやつなら」
「難しいのも出す」
「飯、先に食わせろよ」
 亮が言った。宏和は、俺は聞くだけ、と答えた。
「賞品は、見てきた?」
「見てない。次、もらう」
「じゃ、肉だったら呼べよ」
 僕は土曜の五時に飯と入れた。店はまだ決めなかった。

 改札で財布を開くと、名刺の角に触れた。紙の袋も鞄にあった。
 先に通った亮が階段の下で待っていた。宏和と僕もホームへ上がった。
 ベンチに三人分空いていた。宏和は本を膝へ置き、亮は傘を足の間へ立てた。
 次の電車まで六分と出ていた。

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目次

山を下りるにはまだ早い

  1. 01四人部屋
  2. 02並ぶ前
  3. 03二つの一階
  4. 04待っている答え
  5. 05先に買う
  6. 06湯の手前
  7. 07玄関
  8. 08雨の二人
  9. 09骨
  10. 10返すもの
  11. 11まだ話している
  12. 12紙の向こう
  13. 13返してもらうもの
  14. 14隣へ座る
  15. 15下へ行く
  16. 16残した車
  17. 17九時の番号
  18. 18送られてきた紙
  19. 19後ろの席
  20. 20おかわり
  21. 21終章 四人分読書中

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